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中央学院大学法学部教授
国際陸上競技連盟CECS講師
1956年長野県上田市生まれ。
順天堂大学大学院体育学研究科修士課程修了。現在、中央学院大学法学部教授(スポーツ健康学講座担当)。現役時代の専門種目は、陸上競技のデカスロン(十種競技)で、79年・80年に日本選手権で二連勝、79年アジア選手権2位。93年から日本陸上競技連盟強化委員会混成競技部長を務め、03年から企画情報部アジア担当に就任。この間、日本代表チームコーチとして世界選手権やアジア競技大会などに派遣され、日本記録保持者や国際大会代表選手を数多く育成している。 |
小林 敬和 |
・アスレティックスタビライゼーションとは
「スタビライゼーション」は、ドイツにおいて医療体操から発展した機能訓練法(Function
Gymnastic)の一部を、小林が1994年「スタビライゼーション・トレーニング」という名称を用いてトレーニング専門誌に紹介したのが始まりです。以後、トレーニング時における身体バランスの構築と競技力向上を目指した“アスレティック・スタビライゼーション”として、独自の発展系を提案しています。「スタビライゼーション」という概念は、多くのスポーツ競技のコーチや一般的なスポーツ愛好家に広まり、健康体操としても注目を集めながら、現在に至っています。この“アスレティック・スタビライゼーション”は「動作中における頭部や体幹、四肢の定位(軸や重心の状態)を把握し、その機能的な安定と回復を図るエクササイズ」と定義づけてもよいでしょう。これには、より大きな動作を支える主働筋群の強化もさることながら、協働筋と呼ばれるいわゆる補強筋群の強化が必要となり、深部の繊細なより多くの筋線維を刺激することによって筋及び神経の協調性を増し、身体各部の関節支持能力を向上させる目的があります。
・アスレティックスタビライゼーションの導入方法
“アスレティック・スタビライゼーション”には以下の効果が期待されます。「関節可動性の向上」「関節可動域の拡大」「動的柔軟性の向上」「重心や軸の把握と安定性の向上」「バランス能力(コントロール力、リカバリー力)の向上」「姿勢反射のひきがね(トリガー)」したがって、ウォーミングアップやクーリングダウンの場面に、この“アスレティック・スタビライゼーション”の導入を提案します。この場面での目的は“バランスチェック”です。ジョギングやストレッチングをしていると、その日の体調が主観的に察知できるものです。それと同時に、ここで“バランスチェック”をしてみましょう。主観的に体調が良いときのバランスはどうなのか?逆に悪いと感じたときのバランスはどうなのか?つまり、体調と実際のバランス感覚とのズレを把握しておくことが必要です。
5つの基本ポジションで各1種類ずつ行うとよいでしょう。ウォーミングアップの時は主運動への配慮からあまり時間をかけないほうがよいです。しかし、うまくできないとか、左右差がありすぎるなど顕著にバランスが悪い場合は、もう少し時間を割いてストレッチングを行ったり、バランスチェックを繰り返してみてください。改善されればメイントレーニングに進みます。その日の体調をバランスチェックからも把握することは、スポーツ動作での正しい姿勢と動作づくりにつながります。
同じようにクーリングダウンの場面でもスタビライゼーションドリルは活用できます。強い負荷を受けたトレーニングの後、からだのフレームはどのように変化しているでしょうか。ウォーミングアップで行った一連のバランスチェックを試してください。一般的にトレーニング後のほうがバランスの状態は良好になる場合が多いですが、強い運動負荷をかけたり、極端な片側負荷がかかった後ではからだのフレームに歪みが生じます。その状態のままでクーリングダウンを終えると、疲労として残り、悪い状態で翌日のトレーニングに入るという悪循環を繰り返すことになります。したがって、バランスチェックをした上で、ストレッチングや他のスタビライゼーションドリルを積極的に行い、バランスが改善できるまで十分なクーリングダウンを心がけるべきです。
・アスレティックスタビライゼーションの基本ポジション
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プローン |
スパイン |
ラテラル |
スタンディング |
シッティング |
・競技特性におけるアスレティックスタビライゼーション
■陸上 |
スプリント競技にとってアスレティックスタビライゼーションは、大きな瞬発力がかかるスタート姿勢の安定力を高め、疾走時におけるバランスのよいスプリントフォームの養成、すなわち筋力の左右差の改善に効果を発揮します。 |
跳躍競技にとってアスレティックスタビライゼーションは、特に助走と踏みきりの動作に関連したエクササイズが効果的です。踏みきり時に大きな負荷がかかる踏みきり脚の支持力と安定性を高め、リード脚と股関節角度の可動性を高めることができます。 |
投てき競技にとってアスレティックスタビライゼーションは、投射の構えであるブロック動作の安定性を向上させます。接地している支持局面の安定は、足首、膝、腰、そして上体へと力を伝える重要なポイントです。 |
■野球 |
アスレティックスタビライゼーションを取り入れることで、ピッチング動作やバッティング動作における下半身の支持力と安定性の向上を目指します。また、対角やらせん方向への強い動作が求められますので、体幹部の補強トレーニングとしても最適です。 |
■サッカー |
サッカーにとってアスレティックスタビライゼーションは、プレー要素に対応したボールコンタクトを習得するための姿勢変化の認識力、すなわちコーディネーション能力の向上に効果的です。体幹部の補強トレーニングとしても最適です。 |
■バレーボール |
バレーボールにとってアスレティックスタビライゼーションは、体軸のバランス能力の向上に効果的です。多方向へのジャンプやフライング、着地や接地からの素早いリカバリーによる次のプレーへの対応など、正確かつ基本的なエクササイズが効率的なプレーを支えるでしょう。 |
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BASIC ガイドノート付属 |
■監修者:小林敬和 ■時間:40分
■内容:アスレティックスタビライゼーションの概要:アスレティックスタビライゼーション?・特徴と違い・導入の位置づけ/アスレティックスタビライゼーションの基本ポジション:5つの基本ポジション/アスレティックスタビライゼーションの種類:4つのエクササイズ群/バランスチェック:5つの基本ポジションのバランスチェック/エクササイズ:インクライン・デクライン・サイドライン・スプリントスパイラル・スプリントテイクオフ・エルボーストレッチ・ニーストレッチ・アームローテーション・レッグローテーション・レッグハイ・ヒップアップ&ダウン・レッグオープン・アームオープン・レッグ&アームオープン・左右(1)・左右(2)・左右(3) |
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