1.白樺のポーズとは？　〜考え方の由来〜

「白樺のポーズ」とは基本姿勢の考え方で、日本には旧ソ連の体操コーチで日本の女子体操競技のコーチに当たったラズモフスキーコーチによって紹介されました。 当時、「美しい姿勢」での技の発揮という点では日本の体操は世界のトップレベルと比して著しく劣っていました。「美しい姿勢」とは、只単に見栄えが美しいというだけでなく、技術と密接に関連した機能美をも含んだ見方でした。旧ソ連ではこの美しい姿勢を「白樺のポーズ」（ロシア語で「ペリョースカ」」）といい、身体を自由にコントロールできる、機能的にも形態的にも非常に優れた基本姿勢と考えられてきました。 それでは、この「機能美を兼ね備えた美しい姿勢」とはいかなるものなのでしょうか？

1	直立した状態。
2	かかとは付けたまま足のつま先だけ外に開き、背筋を伸ばす。お尻の筋肉に力を入れる。
3	上体は肩を前に出して、体の前で木を抱くようにする。
4	つま先を元に戻し、体を一直線にしたまま、肩を少し（５センチほど）前に出して完成！

---

2.白樺のポーズの効用　〜姿勢変化のメカニズム〜

白樺のポーズは骨盤の使い方を中心に考えられています。通常、脊柱は頸椎・胸椎・腰椎の３点で彎曲していますが、地面に対して前傾している骨盤をなるべく垂直に近づけることでこの３つの彎曲が減少します。脊柱の彎曲が減少すると、そのことによりいくつかの効用が得られますがその代表的な事項として、 1.反発力の有効利用 2.身体重心の位置の変化 が挙げられます。

-----「白樺のポーズ」（＝骨盤の起立）による姿勢の変化-----


-----「白樺のポーズ」による脊柱全体の彎曲（３カ所）の減少-----

もともと、この彎曲は椎間によって、歩行や走行による地面 からの衝撃を吸収するためのものですが、吸収するということはパワーが緩衡されてしまうということでもあります。これが減少すればエネルギーをより効率的に利用できる可能性が生まれるということです。さらに、脊柱の彎曲が減少し、直線に近づくということは身体は十分に伸ばされ、それに伴って身体重心の位 置は高くなります。つまり、地面に対して発揮する力を大きくすることができるということになります。 これら２つをみても、この姿勢をマスターすることの有用性はおわかり頂けるかと思います。 白樺のポーズにより、人間の骨格構造的・物理的見地から大きなエネルギーを生み出す効率を向上させる事ができるというわけです。

良い姿勢というのが、脊柱の腰椎の彎曲を減少させることなんですね。「美しい姿勢＝機能美も兼ね備えている」...　是非練習してみてはいかがでしょうか。　次回からはこの姿勢が実際の走りに活かされる走りのメカニズムに迫っていきます。