3.白樺のポーズによる「力の有効利用」

前回のクリニックで説明した「白樺のポーズ」による力の分散・吸収の抑制についてもう少しわかりやすく示したので下図を見てください。

脊柱の彎曲はもともと、その曲線の形状と椎間によるクッションで歩行や走行の際に受ける地面 からの力を吸収することができるようになっています。しかし、パワーをより有効に利用できることが有利となるスポーツ競技においてはこれは「ロス」となるのです。 一方で「白樺のポーズ」によって対地面への力のベクトルを体幹にまともに受けるようにすると一見危険なようですが、これは近年の靴や体育施設の技術進歩によって十分に緩衡されているのでそれほど危険ではありません。 むしろスポーツにおいてはこの「二重のクッション」を働かせることでエネルギー利用の効率が大きく下がってしまうというわけです。

4.白樺のポーズを体感・体得するためのトレーニング！

「白樺のポーズ」を作れることがいかに合理的か理解できたところで、前回のクリニックで図説した「白樺のポーズ」の作り方の基本（前回のクリニック）に加えてもう一つ、腹筋に力を入れた感覚からこの姿勢を作れるようにするトレーニングを紹介します。手順は下図のとおりです。

これを繰り返し行えば、感覚的に、体幹の力の入れ具合で白樺のポーズを作れるようになるはずです。

5.一番力が伝えやすい体勢「パワーポジション」で地面 を捉える！（動きに変える）

骨盤を立てて脊柱の彎曲を減少させた姿勢、いわゆる「軸」を作って体の力を地面 に伝えるのが最も効率が良いこと、そしてその姿勢をトレーニングによって体得する方法を紹介してきました。 そこで次はいよいよ動きに変えていく段階に入っていきます。歩行でも走行でも、脚や腕のスウィングを利用して地面 に力を伝えますが、この際に一歩ごとに「軸」でしっかりと地面に力を伝えていくことが効率の良い走りのポイントになります。

徐々に走りへと理論とトレーニングが展開されてきています。体操競技から入ってきた理論が陸上競技にこれほど根本的で重要であるとは興味深いですね。それにしても、「カズスペシャル」、 こんなに手軽に「軸」作りがトレーニングできるなら他の競技でもおおいに活用できそうな優れ物ではないでしょうか。